本記事の要約
- Microsoft Copilot for Microsoft 365とはWord, Excel等のMicrosoft 365の製品とGPT4を連携させたサービス
- Copilotに指示したプロンプトは、ユーザ及び組織の背景情報にあわせて修正され、その後LLM(大規模言語モデル)に送られる
- プロンプトやユーザ及び組織の背景情報、レスポンスの内容は、LLMに学習されない
- LLMの出力には、セキュリティ、コンプライアンス、プライバシー等を踏まえたチェックが行われ、Copilotのレスポンスが作成される
※本記事は、2024年5月15日現在の下記URLの情報をもとに執筆。
Microsoft Copilot for Microsoft 365の概要 | Microsoft Learn
Microsoft Copilot for Microsoft 365とは?
長いので以下、Copilotと略。One DriveかShare Point上にアップしたWord とかExcelとかからGPT4が使えますよっていうサービス。
本記事ではCopilot の「仕組み」に焦点を当てているため、「何ができるか」については記載しない。詳細については上記URL参照。
Copilotの仕組み
Copilotの出力は、上画像の5つのステップによって作成される。
- ①ユーザがプロンプトをCopilotに送信
- ②Copilot がユーザ及び組織の背景情報(Microsoft Graph)等にアクセスし、プロンプトを修正(grounding と表現)
- ③修正されたプロンプトをLLMに送信
- ④Copilot がLLMからの出力を受け取る
- ⑤LLMからの出力を、コンプライアンス等の観点からチェック
上記の①~⑤について、詳細に見ていく。
①ユーザがプロンプトをCopilotに送信
プロンプトの送信に限ったことではないが、上記画像の鍵マークが付された通信は暗号化される。
②Copilot がユーザ及び組織の背景情報等にアクセスし、プロンプトを修正
Microsoft Graphとは、OneDrive や、SharePointに上げているデータにアクセスできるAPIを提供するサービス。このAPIを用いて、ユーザや組織の情報にアクセスし、Copilotに送付したプロンプトを修正する。
ここで興味深いのは、ユーザ・組織の情報を直接LLMに学習させるわけではなく、あくまでプロンプトを修正するために、背景情報にアクセスするということ。ユーザの背景情報が活用された結果、どのようにCopilotの出力が変化するのかは検証の余地あり。また、どのようにプロンプトが修正されるのかについて、詳しい情報はなかった。
③修正されたプロンプトをLLMに送信
繰り返しになるが、プロンプトや、レスポンス、Graphにアクセスして取得したユーザ・組織の背景情報は、LLMの学習には使われない。ここで、上記画像では”~ data aren’t used to train foundation models”と記載されていることから、上記の背景情報は、基盤となるLLMのパラメータの学習には使用されないが、一時的なファインチューニングなどには利用されるのかもしれない(詳細は不明)。
⑤LLMからの出力を、コンプライアンス等の観点からチェック
Copilotは、LLMからの出力をそのままユーザに返すのではなく、コンプライアンス等の観点から修正を行う。この工程を、後処理 “post-processing” と呼んでいる。なお、この点については、上記画像のテキストでは説明が不十分であるため、引用元のページの記載をそのまま記述する(訳は著者による)。
Copilot takes the response from the LLM and post-processes it. This post-processing includes other grounding calls to Microsoft Graph, responsible AI checks, security, compliance and privacy reviews, and command generation.
訳:CopilotはLLMからの応答を受け取り、それを後処理する。この後処理には、Microsoft Graphへの他のグラウンディングの呼び出し、「責任あるAI」チェック、セキュリティ、コンプライアンス、プライバシーレビュー、およびコマンド生成が含まれる。
Microsoft Copilot for Microsoft 365 overview | Microsoft Learn
なお、Microsoft の「責任あるAI」”responsible AI” に関する取り組みについては、こちらを参照。
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